2010年3月24日水曜日

食の安全を守りながら農業の振興を

今、アメリカなどでは、トウモロコシは、人間や動物の食べ物のみならず、

ついにエネルギー資源と化しつつあります。


石油に代る燃料として、バイオエタノールという、トウモロコシを発酵させた

ものがつくられています。


石油を持っているアラブの国から脅されないよう、エネルギー自衛のために、

トウモロコシを燃料化しているわけです。


そして、このトウモロコシには、じつは、栽培や保管の過程で、毒素を出す

カビが発生することがあるのですが、現在、アメリカでは、カビに汚染されて

いないトウモロコシを優先的にバイオエタノール用として使っているようです。


つまり、日本に輸入されるトウモロコシの安全性が、今、懸念されているわけです。


もし、汚染されたトウモロコシが家畜などの飼料に使われたりすると、有毒物質が

家畜の肉の中に入り、次には人体に入ってきます。

そのため、そういう危険性も考えなくてはいけません。


さらに、最近流行ったノロウイルスは、もともと貝にあるものではありません。

「人間界から出たノロウイルスが、二枚貝の中にたまり、その貝を食べた人間の

中で増殖し、中毒を起す」 というかたちなのです。


「人間界から出た排水が、河川や海を汚染し、そこで生活している生き物に

汚染物質がたまっていく」 という状況もあるわけです。


「食の安全を守る」 ということは、実際には非常に難しいことです。

「食の安全を守りながら、かつ、この業界において産業を振興させて、雇用を生み、

多くの人たちに希望を与えることは、極めて困難な仕事である」 と思います。


しかし、そのような困難な仕事であるからこそ、一個人や一企業ではできない

ような 「大きな力」 でもって動かなければならないと考えています。


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2010年3月20日土曜日

有機農業・無農薬栽培にこだわると・・・

2006年に 「有機農業推進法」 ができ、2007年には、2001年に

施行された 「食品リサイクル法」 が改正されています。


今、日本人の間には、「有機農業は健康によく、環境にも優しい」 という

ような一種の信仰がなり立っていて、「有機農業については反対しない」

という風潮ができています。


そして、「生ゴミや弁当の食べ残しなどを回収し、肥料などとして再利用

すれば、有機農業が進み、かつ、ゴミ問題も解決する。一挙両得でうまくいく」

という思惑から、今、推進されているのです。


流れ的には、そういう方向に向かっていて、「有機農業」 というと、反対する

人はほとんどいない状況にあります。


ただ、ほんとうのことを言うと、有機農業は非常に大きな問題を含んでいます。

有機農業への神話は、崩れる可能性が極めて高いと思います。


これは、農業を知らない都会の人たちの発想が中心です。


農家の人が、「有機農業は、いかに素晴らしいか」 ということを見せるために

土をすくってなめたり、ミミズがピンピンと跳ねている姿などを見せることが

よくありますが、それを見ると、都会の人は 「有機農業は素晴らしい」 と

思ってしまうわけです。


しかし、私のように田舎で育ち、ミミズをエサにして魚を釣っていた人間で

あれば、「ミミズがどこに生息しているか」 ということは十分に知っています。


ある種のミミズは、生ゴミの下やゴミため、泥水の中など、汚い所ばかりに

います。


つまし、「ミミズがたくさんいる」 という状態は、「その辺りには、非常に

悪臭がただようような環境があることが多い」 ということを意味している

のです。


有機農業というものは、基本的に臭うのです。

有機物は、発酵が十分に終わった段階で臭わなくなりますが、発酵前は臭います。


その臭うことが素晴らしいと思って、「自然に優しく、環境に優しく、人間にも

優しい」 と信じ込んでいる人がいるわけですが、必ずしもそうとは言えず、

じつは非常に、汚いこともあるのです。


もっとストレートに言えば、今の有機農業は、ほとんどが動物のし尿、

動物の尿や糞から成り立っています。


有機農業の本質はそのようなものです。

「有機農業は必ずしも安全とは言えない」 ということです。


じつは、今、世界的に心配されているパンデミック(感染症が世界的に流行すること)

は、一説では、「有機農業を進めると、発症率が高まるのではないか」 と

言われています。



「エコ信者」 は、有機農業を一生懸命に持ち上げていますが、いわゆる

鳥インフルエンザや豚インフルエンザなどの感染症は、動物のし尿を介しても

広がるので、有機農業が進めば進むほど、感染症がいろいろなところで流行り

やすくなるわけです。


さらに言えば、有機農業を進めると、土の中に含まれる窒素の量が多くなり

過ぎるのです。

自然界に本来あるべき量をはるかに超えた窒素化合物が蓄積され、栄養分が

過剰な状態になることも、さまざまな感染症が広がる一因となります。


今、流れとしては、有機農業のほうに向かおうとしていますが、

「将来的には、危険度は十分に高い」 ということが言えます。


さらに無農薬ということも、非常によいことのように宣伝されていますが、

これも怖い面が多々あります。


「無農薬でありさえすれば安全である」 という言い方をしやすいのですが

無農薬の野菜であれば、いろいろな寄生虫、菌類などが、生きている状態で

付いていることもよくあるのです。


これは日本人のように生野菜をたくさん食べる国民にとっては、危険度が非常に

高くなることを意味しています。


農薬の中には、人間にとって有害なものもあるので、それはよくチェックして

おかなければいけませんが、「農薬そのものが完全に悪い」 と頭から決めつけ

るのは考えものです。


大規模農業を始めるにあたっては、やはり、有効な農薬も、ある程度は

使わなければいけません。


手作り型の無農薬栽培にこだわりすぎると、厳しいものがあると思うのです。


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2010年3月4日木曜日

日本の食料事情は今、危険な状況にある

食料自給率が、カロリーベースで40%、あるいは、穀物で言えば28%という状況

であれば、「食料」 と 「エネルギー資源」 「鉄などの重要金属」 の輸入を

止められただけで、戦争をしなくても負けることになります。


今、日本は、国防的には非常に危険な状況にあるわけです。


アメリカは、サブプライムローン問題以降、経済が低迷していますが、食料自給率は

100%を超えているため、飢え死にすることはありません。


ところが、日本の場合は、「飢え死にすることはない」 とは言い切れない状況

なのです。


日本は、食料の部分を隣の中国にかなり依存していますが、今、中国は、人口が

13億人から14億人へと増えてきており、大豆をはじめとして、しだいに

輸出国から輸入国へと変わってきています。


やがて食料輸入大国になるだろうと推定されます。

したがって、中国からの食料供給がなくなっていく可能性が非常に高いのです。


一方、オーストラリアから食料を買い付けられるかというと、こちらのほうは、

外交的に、すでに失敗しています。


たとえば牛肉の輸入です。

「日本は霜降り牛肉が大好きである」 ということで、オーストラリアは、穀物飼育で

育てた霜降り牛肉を開発するなど、がんばっていたのですが、

「日本の牛肉とは少し違う」 と言って、日本人はなかなか買ってあげませんでした。


そのため、オーストラリア産の牛肉は、今、中国などへ流れていっているわけです。


将来、肉類が足りなくなったとき、日本は、どうするのでしょうか。

非常に心配なところではあります。


このように、食料自給率と食料防衛の問題、さらに、農地があっても耕されない状態

などを見ると、やはり、政治のレベルで、考え方として足りないものがあると思います。


補助金をいろいろと出すこと自体は悪いことではありませんが、補助金漬けになると、

たいていの場合、その産業は衰退していき、魅力がなくなって、若い人が寄りつか

なくなります。


今、農業人口の中で、65歳以上というと、いわゆる老人であり、普通の企業では、

なかなか雇ってもらえない年齢に入ります。


「65歳以上の人が日本の農業人口の60%を占めている」 ということは、

10年後には、それが75歳以上になるわけなので、このままでは農業は、

やがて自然消滅していくことを意味しています。


非常に危険な状態です。


少なくとも、若者に人気のない職種であることは明らかです。


今、農家の大半は兼業農家です。

「何かの仕事をしながら、土日や夏休みなどに農業をしている」 というのが

実態です。


本当の専業農家というものは、ごくわずかしかいないと言われているのです。


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