2006年に 「有機農業推進法」 ができ、2007年には、2001年に
施行された 「食品リサイクル法」 が改正されています。
今、日本人の間には、「有機農業は健康によく、環境にも優しい」 という
ような一種の信仰がなり立っていて、「有機農業については反対しない」
という風潮ができています。
そして、「生ゴミや弁当の食べ残しなどを回収し、肥料などとして再利用
すれば、有機農業が進み、かつ、ゴミ問題も解決する。一挙両得でうまくいく」
という思惑から、今、推進されているのです。
流れ的には、そういう方向に向かっていて、「有機農業」 というと、反対する
人はほとんどいない状況にあります。
ただ、ほんとうのことを言うと、有機農業は非常に大きな問題を含んでいます。
有機農業への神話は、崩れる可能性が極めて高いと思います。
これは、農業を知らない都会の人たちの発想が中心です。
農家の人が、「有機農業は、いかに素晴らしいか」 ということを見せるために
土をすくってなめたり、ミミズがピンピンと跳ねている姿などを見せることが
よくありますが、それを見ると、都会の人は 「有機農業は素晴らしい」 と
思ってしまうわけです。
しかし、私のように田舎で育ち、ミミズをエサにして魚を釣っていた人間で
あれば、「ミミズがどこに生息しているか」 ということは十分に知っています。
ある種のミミズは、生ゴミの下やゴミため、泥水の中など、汚い所ばかりに
います。
つまし、「ミミズがたくさんいる」 という状態は、「その辺りには、非常に
悪臭がただようような環境があることが多い」 ということを意味している
のです。
有機農業というものは、基本的に臭うのです。
有機物は、発酵が十分に終わった段階で臭わなくなりますが、発酵前は臭います。
その臭うことが素晴らしいと思って、「自然に優しく、環境に優しく、人間にも
優しい」 と信じ込んでいる人がいるわけですが、必ずしもそうとは言えず、
じつは非常に、汚いこともあるのです。
もっとストレートに言えば、今の有機農業は、ほとんどが動物のし尿、
動物の尿や糞から成り立っています。
有機農業の本質はそのようなものです。
「有機農業は必ずしも安全とは言えない」 ということです。
じつは、今、世界的に心配されているパンデミック(感染症が世界的に流行すること)
は、一説では、「有機農業を進めると、発症率が高まるのではないか」 と
言われています。
「エコ信者」 は、有機農業を一生懸命に持ち上げていますが、いわゆる
鳥インフルエンザや豚インフルエンザなどの感染症は、動物のし尿を介しても
広がるので、有機農業が進めば進むほど、感染症がいろいろなところで流行り
やすくなるわけです。
さらに言えば、有機農業を進めると、土の中に含まれる窒素の量が多くなり
過ぎるのです。
自然界に本来あるべき量をはるかに超えた窒素化合物が蓄積され、栄養分が
過剰な状態になることも、さまざまな感染症が広がる一因となります。
今、流れとしては、有機農業のほうに向かおうとしていますが、
「将来的には、危険度は十分に高い」 ということが言えます。
さらに無農薬ということも、非常によいことのように宣伝されていますが、
これも怖い面が多々あります。
「無農薬でありさえすれば安全である」 という言い方をしやすいのですが
無農薬の野菜であれば、いろいろな寄生虫、菌類などが、生きている状態で
付いていることもよくあるのです。
これは日本人のように生野菜をたくさん食べる国民にとっては、危険度が非常に
高くなることを意味しています。
農薬の中には、人間にとって有害なものもあるので、それはよくチェックして
おかなければいけませんが、「農薬そのものが完全に悪い」 と頭から決めつけ
るのは考えものです。
大規模農業を始めるにあたっては、やはり、有効な農薬も、ある程度は
使わなければいけません。
手作り型の無農薬栽培にこだわりすぎると、厳しいものがあると思うのです。
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