鳩山政権が進めようとしている、戸別所得補償は、とても問題のある政策なのです。
なぜなら、戸別所得補償などを行えば、構造改革がまったく進まないからです。
農家をすべて守るのは、いわゆる護送船団方式です。
生産費と実際の売上の差額が赤字になれば、生産費を保証することは、
たとえば、10アールから本来10トンとれるところから、6トンしかとれなく
ても損しないことになります。
それだと頑張らなくてもいいし、効率化へのモチベーションがたもてません。
採算の取れない小規模兼業農家でもやめる必要がなくなります。
やめないということは、農地が出てきません。
ということは、効率化を目指す農家は、規模を拡大できません。
結局、何も進まないという政策なんです。
所得補償をやるなら、EUのように貿易の自由化や規模拡大など、構造改革を
やったあとで、所得を維持できない農家に年数を限定して行うべきです。
民主党のやり方は、順序が逆なのです。
先に補償を始めたら、構造価格への意欲はなくなります。
民主党政権ができたことで、確かに、自民ー農協ー農水省の鉄のトライアングルは
壊れました。
しかし、政府が農協ではなく、農家に直接働きかけるようになっただけで、
その構造は変わっていません。
現状維持以外の何ものでもないのです。
そもそも農家に補償が必要か、という問題もあります。
水田だと、1ヘクタール未満の農家が7割を占め、農業所得は年間4万円弱の黒字
から10万円ぐらいの赤字です。
でも、外所得を合わせると、彼らの所得は500万円近くもあるのです。
民主党は、テレビなんかで、「困っている農家を助けて何が悪い」 って言って
いますが、じつは困っていないのです。
むしろ困るのは、効率化を目指す農家です。
小規模農家がやめないから、土地が手に入らないし、借りられない。
やっとの思いで規模拡大しても、4割は減反で生産調整される。
モチベーションがこんなに下がる産業は、他にありません。
さらに企業が参入するのも規制があります。
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