◇縮小され続ける公共投資
日本の公共投資は、97年の橋本政権以降、減り続け、今やなんと30年前も
下回る、極端に小さい規模までに縮小されてしまいました。
しかも、今回の民主党政権においても、公共投資縮小の流れには、
全く歯止めがかかっていません。
民主党政権は、10月、麻生政権時代に国会を通過した、景気対策の
補正予算を、3兆円近くも凍結しました。
その補正凍結額のじつに3分の1が、公共投資が中心の、国土交通省
削減分なのです。(総計で9170億円)
たとえば、「交通の安全確保対策(高速道路の4車線化事業)」 や、
「首都高速・阪神高速道路の予防安全対策」 など、都市部の交通インフラ
に関する投資が数千億円単位で削られてしまいました。
国土交通省以外にも、文部科学省の 「最先端研究開発プログラム(先端研究助成基金)
1200億円」、農林水産省の 「農地集積加速化事業2979億円」 など、
「将来の日本国民」 あるいは、「将来の日本の競争力」 のために、
必要な公共事業が、何の説明もなく、軒並み削られてしまいました。
今回、民主党が凍結した、予算を組む際に、政権サイドは、
例の 「鹿しか通らない道路を!」 式の公共投資悪玉論について、
かなり意識していたようです。
そのため、麻生政権は 「都市交通インフラ」 や、「競争力強化」 に
注力した形で、予算を組んだのです。
それを一切の説明もなしに凍結してしまう民主党政権のやり方は、
よく言っても拙速(せっそく・・出来は良くないが、早いこと)、
悪く言えば、乱暴、もしくは、「何も考えていない」 としか評価しようがない。
恐ろしいことに、全体の要求額が92兆という史上最大に膨らんだ2010年度
概算予算においても、公共事業は相変わらず削減される予定なのです。
日本経済新聞は、あたかも 「削減目標達成!」 のような論調で記事を
書いていましたが、景気低迷下に公共事業を削減することの意味を
理解しているのだろうか。
まるで、魔女狩りのごとく 「公共投資悪玉論」 を広め、
「鹿しか通らない道路を作る公共事業が削減されました!」
なる響きで報道するマスメディアの姿勢には、
率直に言って、恐怖を覚えます。
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