去年、実施された定額給付金は、政府から民間(家計)への所得移転
でした。
所得移転とは、文字通り、「所得が移転される」だけであり、
そこには何ら生産活動をともないません。
政府から所得移転が行われても、GDPが成長するわけではないのです。
GDPを拡大するには、あくまで、政府から移転された所得が、消費なり、
投資なりに使われなければなりません。
減税にせよ、定額給付金にせよ、家計と政府間で、どれだけ所得が往復
しても、それだけでは景気対策としては無意味なのです。
もっとも、同じ所得移転であっても、エコカー減税やエコポイントは、
「消費がされなければ、政府から家計への所得移転は実行されない」
という点で、なかなかかしこい景気対策でした。
民主党は、「子ども手当」「高速道路無料化」 等により、個人消費を
拡大するのが景気対策だと主張しています。
しかし、その財源が、「補正予算凍結」 「公共事業削減」 になっているため
おかしな話になります。
景気対策とは、「GDPを成長させること」 です。
その財源を、公共投資削減に求めては、まともな景気対策には
なりえません。
なにしろ、公共投資削減とは、GDP上の政府支出を削り取ること、
そのものです。
まさにタコ足食いの景気対策なんです。
「子ども手当」 とは、所得移転そのものです。
「こども手当」 としてどれほど莫大なお金が家計にばらまかれても、
それが支出にまわらなければ、GDPは1円も増えません。
公共投資を削減して、「子ども手当」 を支給したとしても、
まんがいち、その多くが貯蓄に回ってしまった場合、公共投資を削減
した分だけ、日本のGDPは、マイナス成長になります。
GDPを成長させることを、「パイを拡大する」 と表現します。
景気対策とは、パイを拡大すること、そのままなのです。
民主党政権の景気対策は、パイの一部を切り取り、別の場所に
付け替えるだけなのです。
NEEDS(日本経済新聞系データバンク)の試算では、民主党の公約が
日本経済に3年間で合計、マイナス0・1%の影響を与えるとなっています。
正直、これでもずいぶんと、楽観的な見通しに見えますが、
「パイの付け替え」 を実施しても、まともな景気対策にはならない
というポイントは、きちんと突いていると思う。
3年間でGDPを 「マイナス0・1%」 成長させる政策は、景気対策
とは呼びません。
ところで、多数の人が、「日本の公共投資は多すぎる。削ってとうぜん」
と思っているとしたら、それは明確な間違いです。
1996年以降、日本の公共投資は、わずかな例外期間を除き、
一貫して減少しています。
すでに、対GDP比で、ピークの半分以下に縮小してしまった
公共投資を、民主党政権はさらに削減すると。
地方の一部は、あまりにも公共投資が減らされた結果、インフラの
メンテナンスさえ、できない状況に陥っています。
信じられないことに、08年の日本の公共投資は、絶対額で、1980年
の規模を下回っているのです。
公共投資が、30年前の水準を下回っている国など、
間違いなく世界に、日本ただ一国だけです
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